【生産者情報】 ブルガリア南部、古代トラキアの中心地プロヴディフ近郊に広大な畑を持つザグレウス・ワイナリー。 強い日差しと大陸性気候、肥沃な土壌に支えられ、この地は数千年にわたって葡萄栽培の伝統を受け継いできた。 ブルガリアは共産主義時代、かつて世界第4位のワイン生産国として知られ、膨大な量のバルクワインを旧ソ連や東欧諸国へ供給してきた歴史を持つ。 質よりも量が求められた時代を経て、国営システムの崩壊とともに産業は転換期を迎え、やがて新しい世代のワイナリーが誕生した。 その象徴のひとつがザグレウスである。 中心人物はディミタール・コストフ。 オーストリアでメカトロニクスを学んだ理工学的な背景を持ちながら、帰国後は家族とともにワイナリーを拡大し、ブルガリア有数の規模を誇る生産者へと成長させた。 だが彼の造りを特徴づけるのは、規模だけではない。 ルドルフ・シュタイナーの哲学を深く読み込み、人と自然の調和を目指す思想を畑とワインに結びつけている点である。 単なる農法としてのビオディナミではなく、自然と人間を一体として捉える視座がワイン造りの根底に流れている。 栽培は有機農法に基づき、収量を抑え、環境への敬意を第一とする。 醸造は大量生産を支える設備を備えながらも、伝統的手法と自然のリズムを尊重する姿勢が貫かれている。 固有品種マヴルッドを中心に据え、ブルガリアらしい力強さと個性を表現するワインは、国内外で高い評価を得ている。 そして近年、ディミタールは新しい挑戦としてナチュラルワインの生産にも着手した。 2021年前後から少量の仕込みを始め、介入を極限まで抑えたアプローチを試みている。 その背景には、哲学と実践をさらに結びつけ、土地と人の関係をより純粋な形で表現しようとする意志がある。 ザグレウスのワインは、ソ連時代の「量」の記憶を超え、現代において「質」と「文化的価値」を体現する存在となった。 トラキアの光と風と土、そしてディミタールの思想と人柄が一本一本に宿り、ブルガリアワインの新しい未来を語りかける。 (インポーター様資料より)
おすすめ商品
カテゴリ一覧